10月読み終えた書籍
政治学の名著30 (ちくま新書 655)
佐々木 毅 / / 筑摩書房
スコア選択: ★★★★
政治とは何かを、その制度論などではなく、根本的な意味で考えるうえで、その一つの案内板になる1冊。
名著30冊の中には、古代からの中世・近代・現代にいたる書籍が選ばれていますが、いわゆる政治だけでなく、クラウゼビッツの「戦争論」や孫武の「孫氏」のような兵法関係もあれば、また西洋だけでなく、孔子の「論語」や福沢諭吉の「文明論之概略」に丸山真男にと豊富です。
歴史的に政治がどのように考えられたのかも分かり、お手軽な1冊です
徳富蘇峰 終戦後日記ーー『頑蘇夢物語』
徳富 蘇峰 / / 講談社
スコア選択: ★★★★
昭和史を知る上で貴重な1冊だと思います。昭和20年8月18日、ポツダム宣言受諾の玉音放送を聴いてから、大東亜戦争の敗北の原因や、GHQ占領で日本が変えられていく様子や、それにおもねる日本人への怒りをこめた日記です。
徳富蘇峰氏が戦争に敗れた原因のもっとも大きなものは、昭和天皇が明治天皇のように天皇親政の体制で挑まなかったことを挙げています。ただ、そういっても徳富蘇峰氏は皇室中心主義であるということでその批判は、昭和天皇を明治天皇のように教育してこなかったことや、成人後も、昭和天皇をそういった場面から遠ざけた周りのものの責任であることを述べています。あくまでも周りがそうさせなかったと・・・
その後、木戸孝一、近衛文麿、東条英機それぞれをこの戦争敗戦の原因の三大悪人的な存在として、それぞれの評価をしていきます。東条英機については、徳富蘇峰自身はかなり期待していたようですが、結果は裏切られたということでした。
徳富蘇峰氏自身はかなりに自信家で、敗戦の原因として、自分の意見を東条英機も誰も受け入れて利用しなかったからだということを挙げていたり、また、文化勲章について自分が第一回の第一号でもらうべきものであり、なぜ第三回で受賞なんだ、第一回にもらえなかったのも侮辱だし、第三回でもらえるのも侮辱だということで、かなりプライドの高い方なんだという一面も分かる1巻でした。
日本が敗戦により、GHQ占領行政の中、日本がまた立ち上がり向かってこないように日本人自身を殺さなくとも日本人の心やその基礎を崩そうとするGHQの思惑とその思惑におもねり協力する日本人の姿に本当に嘆いています。100年後の日本人に向けたものとしての思いもあるそうですが、恐らく、今の日本を見たら、徳富蘇峰氏は、ああGHQの思惑にかなりやられてしまったと嘆かれるだろうと思わされました。
時代を見通す力
副島 隆彦 / / PHP研究所
スコア選択: ★★★★★
学校の日本史では教わることのない歴史の流れを知ることのできる1冊。自分の歴史の見方についてまた違う視点を得るという意味でも大変興味深い1冊でした。
明治維新については、以前は単純に武士といっても下層の武士層が日本の未来を憂えてその若さと情熱と行動力で切り開いていったという感じに捕らえていましたが、だんだんとそんな単純ではないのではないかと考えるようになりました。
そういった中で、副島先生の本は、単純ではない構造を教えてくれます。基本的には、歴史の流れとして特に20世紀は、ロスチャイルド家(ヨーロッパ)とロックフェラー家(アメリカ)の対立であり、その対立の構造が日本においては、前者が三井、後者が三菱という形で進展していること、そしてこれは日本だけに限らず世界の構図であるということがわかります。
また、第二次世界大戦に巻き込まれていく過程も、日本ははめれたことや、よく陸軍悪玉・海軍善玉論が展開されていますが、そうではないことや、海軍の中にアメリカと通じる形で、日本軍を開戦にまで持ち込んでいったということが論じられ、米内光政や山本五十六がそれにかかわっていたという論証は、今までの教えられてきた歴史観を大きく変えるものだと思います。
大きな世界の流れの中で、日本の歴史を考える上でいい1冊だと思います。知的好奇心も大いに刺激されました。
徳富蘇峰 終戦後日記IIーー『頑蘇夢物語』続篇
徳富 蘇峰 / / 講談社
スコア選択: ★★★★
終戦後日記の第二巻です。
二巻は、日本が無条件降伏後のあまりの変わり身の速さに嘆くとともに、この巻の特徴は、第二次大戦後の米ソの対立と、それに伴い、日本においても共産党が大いに活動を展開していることについて、皇室中心主義の徳富蘇峰は、大いに憂い、警告を発し続ける形で展開されます。なぜなら、共産主義は、天皇や国王のような存在、そして宗教を完全に否定するものだからです。
日本共産党とソ連により日本がソ連化されるくらいなら、まだ、マッカーサーによる米化されるほうがましだが、そう言っても、日本であることを守って欲しいということを痛切に主張しています。
83歳当時ということを考えると、日本だけでなく、世界にも目を向けるその視野の広さは驚きの1冊です。また、戦後の日本のことについて、新聞記事の引用もあり、当時のことが分かる1冊です。ただ、かなり徳富蘇峰氏の強烈なフィルターが掛かっていますが・・・
佐々木 毅 / / 筑摩書房
スコア選択: ★★★★
政治とは何かを、その制度論などではなく、根本的な意味で考えるうえで、その一つの案内板になる1冊。
名著30冊の中には、古代からの中世・近代・現代にいたる書籍が選ばれていますが、いわゆる政治だけでなく、クラウゼビッツの「戦争論」や孫武の「孫氏」のような兵法関係もあれば、また西洋だけでなく、孔子の「論語」や福沢諭吉の「文明論之概略」に丸山真男にと豊富です。
歴史的に政治がどのように考えられたのかも分かり、お手軽な1冊です
徳富蘇峰 終戦後日記ーー『頑蘇夢物語』
徳富 蘇峰 / / 講談社
スコア選択: ★★★★
昭和史を知る上で貴重な1冊だと思います。昭和20年8月18日、ポツダム宣言受諾の玉音放送を聴いてから、大東亜戦争の敗北の原因や、GHQ占領で日本が変えられていく様子や、それにおもねる日本人への怒りをこめた日記です。
徳富蘇峰氏が戦争に敗れた原因のもっとも大きなものは、昭和天皇が明治天皇のように天皇親政の体制で挑まなかったことを挙げています。ただ、そういっても徳富蘇峰氏は皇室中心主義であるということでその批判は、昭和天皇を明治天皇のように教育してこなかったことや、成人後も、昭和天皇をそういった場面から遠ざけた周りのものの責任であることを述べています。あくまでも周りがそうさせなかったと・・・
その後、木戸孝一、近衛文麿、東条英機それぞれをこの戦争敗戦の原因の三大悪人的な存在として、それぞれの評価をしていきます。東条英機については、徳富蘇峰自身はかなり期待していたようですが、結果は裏切られたということでした。
徳富蘇峰氏自身はかなりに自信家で、敗戦の原因として、自分の意見を東条英機も誰も受け入れて利用しなかったからだということを挙げていたり、また、文化勲章について自分が第一回の第一号でもらうべきものであり、なぜ第三回で受賞なんだ、第一回にもらえなかったのも侮辱だし、第三回でもらえるのも侮辱だということで、かなりプライドの高い方なんだという一面も分かる1巻でした。
日本が敗戦により、GHQ占領行政の中、日本がまた立ち上がり向かってこないように日本人自身を殺さなくとも日本人の心やその基礎を崩そうとするGHQの思惑とその思惑におもねり協力する日本人の姿に本当に嘆いています。100年後の日本人に向けたものとしての思いもあるそうですが、恐らく、今の日本を見たら、徳富蘇峰氏は、ああGHQの思惑にかなりやられてしまったと嘆かれるだろうと思わされました。
時代を見通す力
副島 隆彦 / / PHP研究所
スコア選択: ★★★★★
学校の日本史では教わることのない歴史の流れを知ることのできる1冊。自分の歴史の見方についてまた違う視点を得るという意味でも大変興味深い1冊でした。
明治維新については、以前は単純に武士といっても下層の武士層が日本の未来を憂えてその若さと情熱と行動力で切り開いていったという感じに捕らえていましたが、だんだんとそんな単純ではないのではないかと考えるようになりました。
そういった中で、副島先生の本は、単純ではない構造を教えてくれます。基本的には、歴史の流れとして特に20世紀は、ロスチャイルド家(ヨーロッパ)とロックフェラー家(アメリカ)の対立であり、その対立の構造が日本においては、前者が三井、後者が三菱という形で進展していること、そしてこれは日本だけに限らず世界の構図であるということがわかります。
また、第二次世界大戦に巻き込まれていく過程も、日本ははめれたことや、よく陸軍悪玉・海軍善玉論が展開されていますが、そうではないことや、海軍の中にアメリカと通じる形で、日本軍を開戦にまで持ち込んでいったということが論じられ、米内光政や山本五十六がそれにかかわっていたという論証は、今までの教えられてきた歴史観を大きく変えるものだと思います。
大きな世界の流れの中で、日本の歴史を考える上でいい1冊だと思います。知的好奇心も大いに刺激されました。
徳富蘇峰 終戦後日記IIーー『頑蘇夢物語』続篇
徳富 蘇峰 / / 講談社
スコア選択: ★★★★
終戦後日記の第二巻です。
二巻は、日本が無条件降伏後のあまりの変わり身の速さに嘆くとともに、この巻の特徴は、第二次大戦後の米ソの対立と、それに伴い、日本においても共産党が大いに活動を展開していることについて、皇室中心主義の徳富蘇峰は、大いに憂い、警告を発し続ける形で展開されます。なぜなら、共産主義は、天皇や国王のような存在、そして宗教を完全に否定するものだからです。
日本共産党とソ連により日本がソ連化されるくらいなら、まだ、マッカーサーによる米化されるほうがましだが、そう言っても、日本であることを守って欲しいということを痛切に主張しています。
83歳当時ということを考えると、日本だけでなく、世界にも目を向けるその視野の広さは驚きの1冊です。また、戦後の日本のことについて、新聞記事の引用もあり、当時のことが分かる1冊です。ただ、かなり徳富蘇峰氏の強烈なフィルターが掛かっていますが・・・
by ebiken-chigasaki
| 2008-11-02 23:30
| 読書記録