2009年4月に読み終えた本④ ベーシックインカム入門
1年以上前に、この「ベーシックインカム」という言葉を本屋で見かけて、そのときはスルーしてしまいましたが、リーマンショック以降、貧困問題に関心があり、学ぼうと思い、一連の書籍を読む中で、新たな考え方として再度出会いました。
「働かざる者、食うべからず」という言葉が、広く流布しており、日本の古来の勤労観からすると、かなり考え方が違うので、戸惑いも覚える部分もありますが、ある意味、日本の公地公民制度などもよくよく考えていくと、このベーシックインカム的なものだとも思えます。
また、この考え方自体は、最近日本ではちらほらと見かけるようになりましたが、その歴史は古く、欧米で見れば200年以上もの時間の経過があること、また、ノーベル経済学賞を受賞したエコノミストも、呼称はどうあれ、ベーシックインカムを提唱していたり、認めているということは、この書籍を読むまで知りませんでした。
生活保護については、日本では捕捉率が20%程度(必要だと思われる人の20%程度にしか支給されていないということ)であることや、申請主義であることの受けることのスティグマ(恥辱感)を与えること、支給に関しての事務手続きや、支給後の不正受給のような問題などを確認する事務などの制度自体についても経費がかかっていることなどからも、ベーシックインカムの方がいいのではないかと思わされる面もありました。
ただ、これを本格的に採用するという場合には、現在の福祉国家の制度設計に関する前提となる考え方の変更や、労働観の変更など、パラダイムチェンジをしなければいけないので、実際にはかなりの抵抗があるのではないかとも思います。しかし、考え方としては興味深く、ベーシックインカムについて広く・浅く知るという意味では、その入門編としてはいい1冊ではないかと思いますし、私自身、もっとこのベーシックインカムという考え方についての理解を深めたいと思いました。
by ebiken-chigasaki
| 2009-04-29 22:27
| 読書記録